損しないための「販売価格売値 」の決め方 | 計算方法と注意点
こんにちは!「楽楽販売」コラム担当です。
販売価格を決める際、高すぎてしまうと売りにくくなり、低すぎると利益につながりません。適切な販売価格を決定するのは簡単ではありませんが、販売価格の考え方や計算方法を学ぶことでより適切な価格を決めやすくなります。今回は、販売価格の決め方やテクニックなどをご紹介します。
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この記事の目次
販売価格の決め方、計算式
販売価格を決める際に必要なのは、「利益率を計算すること」です。利益率は「商品が売れた際に発生する利益の割合」のことを指します。
利益率は以下の計算式で簡単に算出できるため、販売価格を決める際の目安として取り入れましょう。
販売価格 = 原価(仕入れ値) ÷ 原価率
「原価(仕入れ値)÷原価率」で販売価格を決める場合は、営業ジャンルに合わせた原価率を知ることからはじめましょう。
例えば、飲食店の原価率は「約30%」といわれているため、500円で仕入れた健康食品を販売する際は「500÷0.3=1,666」の計算となり、1,600円程度の販売価格となります。
「美容業は10%〜70%程度」「製造業80%程度」など、原価率は職種によって大幅に異なるため、必ず把握しておきましょう。
販売価格 = 原価(仕入れ値) ÷ (1-予定利益率)
こちらの計算式は「これくらいの利益率が欲しい」と、あらかじめ得たい利益に合わせて販売価格を決定する方法です。原価と予定利益率から販売価格を決めます。
例えば80%の利益率が欲しい場合、1,000円で仕入れたシャンプーはいくらで販売すればいいのでしょうか。
計算式にあてはめてみると「1000 ÷ (1-0.8)=5000」となり、利益率が80%欲しい場合のシャンプーの適正価格は「5,000円」ということになります。
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原価の要素を分解してみると
原価とは「仕入れ値」のことですが、製造業などでは商品を自分たちで作り出す過程にも「原価」の要素を使用します。ここでは原価の要素について、詳しくご紹介します。
製造原価
製造原価とは、物を製造する際にかかった費用のことを指します。製造原価には、製品の材料やネジなどの「材料費」だけではなく、製品製造に関わった労働者への賃金としての「労務費」、設備の減価償却費や光熱費などの「経費」が含まれます。
製造原価の種類はとても幅広いため管理をすることが難しいといわれていますが、製造原価を抑えることは原価率UPにもつながるため、要検討ポイントです。
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製造以外の原価
製品製造に直接関わっていなくても、製品をアピールするためにかかった経費などを「販売費」「一般管理費」「営業費」などと呼びます。
例えば、製品の広告宣伝費や営業にかかる人件費・販売手数料などがこれにあたります。
製造原価とは、物を製造する際にかかった費用のことを指します。製造原価には、製品の材料やネジなどの「材料費」だけではなく、製品製造に関わった労働者への賃金としての「労務費」、設備の減価償却費や光熱費などの「経費」が含まれます。
製造原価の種類はとても幅広いため管理をすることが難しいといわれていますが、製造原価を抑えることは原価率UPにもつながるため、要検討ポイントです。
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総原価とは
総原価とは、製造〜販売までにかかった全費用のことです。
販売価格を決定する際は、物やサービスに対する材料費や人件費、営業費など全てを集計することが大切です。
アフターサービスにかかる費用なども総合的に考え、総原価に組み込みましょう。
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販売価格の決め方で注意すべき点
利益率を上げるためにも、適切な販売価格の決定が欠かせません。ここでは、販売価格の決め方で注意すべき点をご紹介します。
顧客目線で検討できているか
販売価格は「顧客目線」で考えることが最優先です。どんなに素晴らしい製品でも、見合った価格で販売し顧客を惹きつけられなければ売上を伸ばせません。
販売価格が製品やサービスに合っているのかどうかを確認するのはもちろん、魅力的なPRができているかどうかも併せて確認しましょう。
市場価格とかけ離れていないか
販売価格を決める際、市場価格とかけ離れていないかを必ずリサーチをしましょう。
よほどの強みがある場合は別ですが、市場価格とかけ離れてしまうと顧客が競合企業・商品などに流れてしまう可能性があります。類似品の販売価格を参考にしながら決めることが大切です。
最初に決めた販売価格に無理はないか
販売価格を最初から安く設定して売ってしまうと、何らかの理由で価格を上げざるを得なくなった際に顧客から批判を浴びる恐れがあります。
原材料の高騰や不景気の影響など不可抗力の事態が起こるリスクも見据えた上で価格を決めることが大切です。
こういったことから、最初から無理に価格を抑えずに高めに設定しておくほうが環境変化に対応しやすくなります。それだけでなく、高い価格設定から状況に応じて値下げを行えば、顧客からの評価アップが期待できるでしょう。
値段の決め方の種類
ここでは、販売価格を決定するために利用できる方法をご紹介します。
コストプラス法
原価(仕入れ値)を基準に計算する方法です。「販売価格 = 原価 + 予定利益」で販売価格を計算します。
マークアップ法
コストプラス法の変種といわれていて、基本的には小売業者や卸売業者による販売価格の決定方法です。
「販売価格 = (原価 + 販促費 + 人件費)+ 予定利益」で計算します。
市場価格追随法
市場価格追随法とは、競合製品や類似サービスなどを基準にして販売価格を決定する方法です。市場に合わせた価格設定ができるため、安心感のある方法といえるでしょう。
名声価格法
名声価格法は製品やサービスに付加価値やプレミア特典を加えることで、市場価格よりも高い販売価格をつける方法です。「類似品や競合企業に差をつけたい」「差別化をはかりたい」という場合におすすめです。
価格の決め方のテクニック
販売価格を決める際には、原価率などを使って計算式にあてはめながらシミュレーションすること以外にも応用できるテクニックがあります。以下で詳しくご紹介します。
端数価格
端数価格は、端数を少しだけ値下げし価格の桁を落とすテクニックです。
例えば、1,000円の商品を1円値下げして999円にすることでお買い得感を演出し、購買意欲を高めます。
段階価格
段階価格には「極端の回避性」という人間心理が用いられています。この心理は「松竹梅の法則」とも呼ばれ、人間は「真ん中の物を選びやすい」という傾向があります。
つまり、1,999円・999円・333円という3種類の商品がある場合、最も売れやすいのは999円の商品ということです。
階段価格を上手く利用して「真ん中に高い利益率の出る製品を設定する」と、より利益率の向上が期待できるでしょう。
抱き合わせ価格
抱き合わせ価格は、商品を組み合わせることで割引されるように設定する方法です。
「〇〇セット」のように銘打ってセット価格で販売すると客単価も増え、売上増につながります。飲食店などでもよく見られる方法です。
AIで販売価格を決める方法も登場
上記に挙げたように、販売価格を決める論理的な計算式や顧客からの理解を得やすい値決めのテクニックはありますが、いずれも最終的には勘や経験といった感覚的な判断も必要になります。一方、近年ではインターネットやAIによって販売価格を決める方法も注目を集めています。
ダイナミックプライシング
販売価格の設定にAIが導入されている一例として、販売価格を一定にするのではなく環境要因に応じて販売価格を変動させる「ダイナミックプライシング」があります。
一般的によく知られるのは、ホテルや交通機関の利用料金が年末年始やゴールデンウィークに高く、平日は安く設定されているようなケースです。
ダイナミックプライシングの根拠となる需要の増減を測るには、市場動向や曜日、祝祭日、天候、場所、顧客ニーズといったさまざまな環境要因からの裏付けが必要です。膨大なデータを人力で分析してその都度最適な価格設定を行うには相当なスキルと労力がかかりますが、データベース化や分析をAIで行えば、大幅な時間短縮と正確性の向上が期待できます。さらに、販売価格の算出を繰り返すほどにAIの学習能力が活かされ、より効率的で精度の高い価格設定が行えるようになります。
AIを活用して需要の増減に見合った価格設定に可変するダイナミックプライシングは、集客の維持や利益向上をはかる戦略として今後さらに取り入れられるようになるといえるでしょう。
まとめ
今回は、販売価格の決め方やテクニックなどをご紹介しました。販売価格の決定は利益に直結する重要なポイントですので、適切な方法を活用し検討することをおすすめします。
販売価格を決定するためにはさまざまな方法がありますが、まずは「利益率の計算」「市場の調査」からはじめてみましょう。
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記事執筆者紹介
- 株式会社ラクス「楽楽販売」コラム編集部
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