よりよく、寄り添う 販売管理クラウド
資料請求 無料トライアル

原価管理とは?
基本や原価計算との違いを解説

原価管理とは?基本や原価計算との違いを解説

こんにちは!「楽楽販売」コラム担当です。
ビジネスで利益を追求していく上で、必要なもののひとつに原価管理が挙げられます。日本経済が低迷しはじめた90年代後半以降、コストのカットと利益確保のための原価管理がより重要視されるようになりました。そこで、今回は原価管理の基本や、混同されがちな用語との違いを解説します。

この記事の目次

    原価管理の基本と原価計算との違い

    バブル経済が崩壊し、日本の経済成長が停滞しはじめたころから、原価管理は業界や業種を問わず、多くの企業にとって大きな課題となりました。
    前述の通り、企業としてのコスト削減や利益確保のためには原価管理が欠かせません。

    まずは原価管理の基本と、原価計算との違いから解説します。

    原価管理の基本

    企業として売上をあげていくためには、原価が必ず発生します。詳しくは後述しますが、材料費や人件費などが原価にあたります。そして、売上から原価を引いたものが利益です。十分な利益を守るためには、これを適切に管理する必要があります。

    原価管理とは、「原価の基準を設定した上で、原価の実際の発生額と比較を行い、差異の原因を分析して改善を進めていくこと」と定義されています。
    もっと分かりやすく説明すると、十分な利益を確保できる原価を設定し、実際の原価と比較しながら目標値へと近づけていくことが原価管理にあたります。

    原価管理の歴史

    日本において原価管理や原価計算の概念が確立された歴史は、高度経済成長期にまで遡ります。戦後間もない当時は、経済と社会を復興させるために物品を大量生産していくことがどの産業においても必要でした。個別のニーズに合わせて都度物品を提供するのではなく、あらかじめ販売数を予測し、在庫分を含む大量の物品を生産するスタイルへと切り替わる過程で、原価を安定させるための「コスト・コントロール(原価統制)」という概念が誕生しました。

    その後、消費行動の多様化や技術発展、市場の変化などの流れを受け、コストの捉え方も複雑化していきます。そのため、さまざまな観点からコスト削減を図る、現代に通ずる「原価管理」という考え方が一般化し、その必要性もより認知されていくようになりました。

    原価管理と原価計算の違いとは?

    原価計算は、製造にかかる原価や売上に対する原価を計算するための技術です。それに対して、原価管理は計算によって導き出された原価を管理するための手法です。

    原価管理を適正に行うためのツールのひとつが原価計算と考えるとわかりやすいです。

    原価計算はコスト削減や利益確保に欠かせない要素ですが、ただ算出するだけでは意味がありません。導き出した原価を利用して、活用することが重要なのです。

    原価管理における原価とは?

    続いて、原価とは何を指すのかを整理します。一般的に、原価とは3種類に分類することができます。1つ目は商品の製造に必要な原材料や、部品にかかる「材料費」です。そして、2つ目は人件費などにあたる「労務費」、3つ目は外注先に支払った費用や、工場や施設の維持費などの「経費」となります。

    原価管理における原価とは、これらの全てを集計したものです。商品やサービス1つあたりの原価は、一定期間の原価をすべて集計し、製造数で割って算出可能です。具体例を1つ挙げます。

    原価(材料費100万円+労務費80万円+経費20万円)÷製造数2,000個=1つあたりの原価1,000円

    原価を正確に把握できていれば、原価の計算自体はそれほど複雑なものではありません。

    原価管理の基本的な3つの施策

    原価管理には、基本となる3つのアクションがあります。それが「原価企画」と「原価維持」、「原価改善」です。

    最初に行うべきなのは原価企画です。製品やサービスに投じることができる原価を設定します。価格に対して、求める利益を考えた上で原価を設定します。ここで、設定した原価よりも、実際に製造してみるとオーバーしてしまうケースも少なくありません。そこで、原価を調整し、目標原価に近づけるのが原価維持です。最後の原価改善は、目標よりもさらに原価を抑えるためのアクションです。仕入れ先の検討や、製造プロセスなどの改善によって、より原価を下げることを目指します。そして、売上に対する利益を上げていくのです。

    以上のような施策を実践し、原価をコントロールすることが、原価管理の基本となります。

    原価管理と予算管理の違い

    原価管理と予算管理は、いずれも業務に関連するデータからコストを分析し、課題や経営判断の材料を収集する「管理会計」の一要素として位置づけられる管理手法ですが、両者はそれぞれ異なる意味合いを持っています。前述の通り原価管理が原価を構成するさまざまな数値を分析していく手法であるのに対し、予算管理は次年度もしくは中期経営計画に基づく3年間といった期間の中で目標予算を設定し、それに向けた動きをビジネスに取り入れる手法です。

    つまり、原価管理が「現状分析」を行う管理手法であるのに対して、予算管理は「将来的な目標」を達成するための方策を立てるための管理手法という違いがあります。

    原価管理が必要な理由

    ここまで、原価管理の基本をまとめました。続いてここからは、原価管理が必要な理由について解説します。

    損益分岐点の明確化

    売上高とコストが等しくなって、利益を得られるようになるボーダーラインが損益分岐点です。具体例を挙げましょう。原価が50円の商品を1,000個製造すると、原価の合計額は50,000円になります。
    販売価格を100円に設定したとすると、利益は50円ですので、1000個販売すれば、原価と等しくなります。ここが損益分岐点です。

    損益分岐点は、ビジネスの基本であり、もっとも重要な要素のひとつです。そんな損益分岐点を明確にするためにも、原価管理が必要なのです。

    原価変動のリスクへの対応

    原価は常に一定とは限りません。特に製造業においては原材料の仕入れ価格がさまざまな要因で変動する可能性があります。

    原価が下がるのであれば、その分利益が上がりますが、逆に原価が上がればその分だけ企業の利益は減ります。結果として、企業としての収益を圧迫するのです。
    大きな原価変動が起こった際の仕入れ先の変更や、コスト削減計画を事前に立てておけば、万が一の際のリスクを最小限にとどめることができます。

    つまり、原価管理には企業の収益を守るリスクマネジメントとしての一面もあるのです。そして、長期的な経営計画を立てることにも繋がります。

    サービス原価の把握

    原価管理と言うと、製造業のみに関係するものだと思われがちです。ですが、サービス業にも原価は存在します。販売するものが目には見えないサービスであっても、商品です。当然、労務費や諸経費などがかかっています。ITシステム業でも同様で、労務費や設備費、管理費用などを原価として計算できます。
    意識が薄くなり、無視されてしまいがちなサービス原価の把握にも原価管理にも欠かせません。

    原価管理を行うメリット

    原価管理をビジネスへ積極的に取り入れていくことには、さまざまなメリットがあります。

    無駄なコストの把握

    まず、原価管理がもたらす最も大きなメリットが、無駄なコストを知ることができる点です。原価の構成要素を把握することで、何が必須で何が削減可能なのかを定量的な視点から判断できるようになります。各部門へコストダウンの交渉を行う際にも、なぜ必要かといった理由をデータから具体的に説明し、円滑にコストの削減を進めていくことができるでしょう。

    損益分岐点の把握

    原価管理の実践によって、事業のプラスとマイナスを見極めるための「損益分岐点」を知ることも可能です。損益分岐点は経常利益がちょうどゼロとなるポイントを指す指標で、これを下回ると赤字、上回ると黒字になります。損益分岐点を見極めることで、事業への増資または撤退といった経営判断を適切に行うことができ、より正確な利益追求を行っていくことが可能です。

    原価管理システムとは

    最後に、原価管理を行う上で今や必須とされる「原価管理システム」について、基本的な事柄を整理していきます。原価管理システムとは、原価計算やデータの集計、予実管理や損益分岐予測といった原価管理に関するさまざまな分析を行うためのツールです。

    原価管理システムの機能

    原価管理システムの主な機能は、前述の通り「原価の計算」「原価データの集計・出力」「データに基づく現状分析と将来予測」といった定型的ながら複雑な処理を自動化することです。
    例えば、原価計算では各製品の製造原価をそれぞれ出力することができ、データ集計では部門間の原価データの平均値を比較することも可能です。また、それらのデータ群から現状の問題点を洗い出したり、将来的な損益分岐点の予測や利益向上のための目標値なども試算したりすることもできます。

    原価管理システム導入のメリット

    原価管理システムを導入することで得られるメリットは、原価管理の正確性向上や情報をリアルタイムで把握できることです。これにより経営判断のクオリティ向上といった直接的な利益を生みだすことが期待できます。定量的な指標に基づくデータを、迅速かつ正確に出力できることが利益向上に寄与するでしょう。

    ほかにも、ERP(基幹業務システム)などに代表される各種ツールとの連携強化や集計業務などに生じる人件費のコスト削減効果など、導入することによるさまざまなメリットが見込めます。

    まとめ

    企業としての利益を追求する上で、原価管理はとても重要な意味を持っています。単に十分な利益を確保するためだけでなく、リスクマネジメントとしての側面も持ち合わせているのです。
    原価管理のためには、原価計算というツールによる正確な原価の把握、そして適正な標準原価の設定が欠かせません。
    サービス業など、一部の業界では原価への意識が甘く、実感しにくい傾向にあります。明確に原価を計算し、管理することによって意識を高めるきっかけにもなります。

    まだ、原価管理に取り組むことができていない企業は、これを機会に、検討してみてください。あなたのビジネスの拡大に繋がるかもしれません。
    現代では、もっと効率的に原価管理ができるシステムやツールも増えていますので、導入を検討してみてください。

    記事執筆者紹介

    • 株式会社ラクス「楽楽販売」コラム編集部
    • 「楽楽販売」のコラムでは販売管理・受発注管理・プロジェクト管理などをはじめとする、あらゆる社内業務の効率化・自動化の例をご紹介していきます!
    「楽楽販売」って結局何ができるの?
    「楽楽販売」なら
    業務のお悩みすべて解決!

    カンタン1分で完了!

    関連サービスのご紹介

    「楽楽販売」の姉妹製品・関連サービスのご紹介です。
    バックオフィス業務のあらゆるお悩みを解決できるシステム・サービスをご用意しています。

    「おかげ様でラクスグループのサービスは、のべ67,000社以上のご契約をいただいています(※2023年3月末時点)。「楽楽販売」は、株式会社ラクスの登録商標です。

    本WEBサイト内において、アクセス状況などの統計情報を取得する目的、広告効果測定の目的で、当社もしくは第三者によるクッキーを使用することがあります。なお、お客様が個人情報を入力しない限り、お客様ご自身を識別することはできず、匿名性は維持されます。また、お客様がクッキーの活用を望まれない場合は、ご使用のWEBブラウザでクッキーの受け入れを拒否する設定をすることが可能です。

    「楽楽販売(働くDB) クラウドサービス」は「IT導入補助金2024」の対象ツール(インボイス枠(インボイス対応類型)および通常枠)です。
    補助金を受けるためには、導入契約を締結する前にIT導入補助金事務局(事務局URL:https://it-shien.smrj.go.jp/)に対して交付申請を行う必要がありますので、その点に留意してください。
    なお、補助金の交付を受けるには所定の要件を満たす必要があります。