原価とは?
おさえておきたい原価に関する基礎知識
こんにちは!「楽楽販売」コラム担当です。
「原価」は商品を購入する際にかかる「仕入費用」として広く知られていますが、そのほかにもさまざまな意味をもっています。原価と間違われやすい「売上原価」や損益分岐点を把握する「原価計算」など、原価にかかわる用語・知識は多岐にわたります。
そこで今回は、おさえておきたい原価の基礎知識と売上原価との違い、原価計算の詳細についてご紹介します。
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この記事の目次
原価とは
前述のとおり、原価は一般的には「商品を仕入れる際にかかる費用」として知られています。
しかし、仕入れた商品が完成するまでにかかる「材料費」「人件費」「広告宣伝費」なども原価の一部としてまとめられるため、一口に「原価」といっても詳細は少しずつ異なります。
ここでは、原価の種類についてご紹介します。
製造原価
製造原価は一言であらわすと「商品製造にかかわった全ての費用」のことで、主に「材料費」「労務費」「製造経費」の3つに分かれます。
商品を製造する過程で仕入れた原料や材料にかかった費用を「材料費」、商品製造にかかわった労働者への賃金や給与は「労務費」として処理されます。「製造経費」は材料費と労務費に分類されないコストで、さまざまな方面への経費が含まれます。
販売費・一般管理費
一口に「原価」といっても、何に使用したかによってさまざまな原価種類に分かれます。
例えば、原価に含まれる「販売費・一般管理費」は「商品を販売するためにかかった費用」や「会社の管理活動にかかわる費用」を示し、具体的には「商品PRの広告費」「営業経費」「会社で利用する事務消耗品費」などがあげられます。
経費との違い
前述のように、原価とは「製品を製造するためにかかった費用」のことを指しています。
一方、経費とは「販売費や一般管理費のうち、売上を上げるためにかかった費用」のことです。商品の製造や販売のために要した人件費や消耗品費、従業員に支払った交通費、福利厚生費などが経費の代表例です。
ここでいう販管費は、商品の販売にかかった費用のことをあらわします。そして、一般管理費は企業における総務部問や人事部門、経理部門など、管理業務に関連する費用のことです。
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目的別分類と原価の種類
原価は、使用目的によってさまざまな種類に分かれることをご紹介しました。ここでは、さらに詳しく原価の種類を分別してご紹介します。
材料費
材料費は、製造原価のひとつに分類されます。
具体的には、石油や鋼鉄など商品の製造に必要な原料や資源を仕入れる際にかかる費用のことです。
さらに「製造にかかわる部品や消耗品などにかかる費用」も材料費に含まれ、勘定科目は「材料」になります。
労務費
労務費は「人件費と同じ」と捉えられやすい科目です。ただし一般的な人件費とは違い、労務費は「商品の製造に直接かかわった人」に支給される賃金や給与・賞与・手当などを意味します。
労務費は商品の生産数に影響されるため、一般消費者へ商品を販売する小売業ではなく「商品を製造するメーカーや工場」で発生することが多いという特徴があります。
製造経費
製造経費は「材料費」「労務費」に含まれない経費のことを指します。具体的には「工場の賃貸料」「大型設備の減価償却費」「工場の光熱費」などの費用のことです。
そのほかには、工場や機械などの保険料や建物・機械のメンテナンス費用、商品製造のために必要と判断された労働者の出張費用なども製造経費として認められます。
視点別分類と原価の種類
原価を製品の製造過程で「直接費」と「間接費」に分類する方法もあります。
視点別分類における直接費と間接費は、製品の製造に直接関連する原価と間接的に関連する原価の2種類にわけられます。
直接費
直接費とは、製品を製造する過程で直接的にかかった費用のことです。主に製品加工の原料となる原材料費や、製品に組み込むための買入部品費、製造に携わった従業員の賃金・給与・雑給などがあげられます。
加えて、外部企業などに一部業務を外注する際の外注費となる「諸支払経費」も直接費に含まれます。
直接費を明らかにすることで、どの製造過程にどれだけの費用がかかったのかを把握できます。加えて、賃金・給与・雑給がわかれば、時間あたりの人件費を計算し、生産性を算出することも可能です。
間接費
間接費とは、製品の製造過程に必要となる費用ではあるものの、どの製品にいくらかかったのかを正確に特定できない費用のことです。例えば調理に油を使ったとして、その油がどの料理に何リットル使われたのかを正確に計算することはできないため、間接費とみなされます。
間接費のカテゴリーには消耗品費や消耗工具備品費、賞与・退職給付引当金、福利厚生費、減価償却費、電力料、修繕費などがあります。
売上原価とは
売上原価とは、売れた商品の仕入れ・製造における費用を指します。例えば、販売価格1,000円の商品を500円で仕入れていたとすれば、500円が売上原価になります。
売上原価は「商品が売れた後に計上する」ことが原則なので、売れていない商品に対しては売上原価の計算は行われません。
売上原価は売上利益を計算する際に欠かせない項目であることから、売上計算の仕組みや方法は熟知しておきましょう。
原価計算とは
原価計算とは、商品を製造するためにかかった費用の計算のことです。
ここまでにご紹介した「材料費」「労務費」「製造経費」など全てを計算することで、ひとつの商品にどれだけのコストがかかっているのかを把握できます。
原価計算のメリット
原価計算をするためには科目ごとに分類したり人件費を細分化したりしなければならず、時間や労力がかかります。
しかし原価計算をすることにはさまざまなメリットもありますので、ここで詳しくご紹介します。
原価の無駄が把握できる
原価計算を通して「ひとつの商品にどれだけのコストがかかっているのか」を知ることで、原価の無駄を把握してさらなるコスト削減の実現につながります。
サービス原価が把握できる
原価計算を取り入れると、商品製造にかかる「直接経費」と「間接経費」が明確になります。
商品の品質を保つためにはある程度の材料や原料のクオリティを確保する必要があり、大幅なコスト削減は現実的ではありません。
しかし商品製造に間接的にかかわる「サービス原価」を見直すことで、大幅なコスト削減も実現できる可能性が高まります。
損益分岐点がわかる
原価計算では商品製造にかかわる全ての費用を算出できるため、売上から原価を引くことで「売上総利益」を把握でき、損益分岐点の理解につながります。
まとめ
一口に「原価」といっても商品の材料に使用する原価や人件費に使用する原価など、さまざまな種類があります。原価についての理解を深めることで企業全体のコスト削減につながりやすくなり、経営改善や事業拡大にも大きな影響を与えるでしょう。
しかし、種類が豊富で分類がわかりにくい原価管理を徹底することは簡単ではありません。「原価管理が複雑で困っている」「従業員が多くて原価管理に時間がかかる」という企業は、原価計算が簡単にできるシステムの導入なども視野に入れてみましょう。
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