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原価管理における「配賦」とは?
配賦基準の種類と計算方法について

原価管理における「配賦」とは?配賦基準の種類と計算方法について

こんにちは!「楽楽販売」コラム担当です。
企業活動の費用を特定の基準に基づいて部署や支店などに振り分ける「配賦」には、さまざまな設定基準があります。配賦の基準の定め方によっては、社内のモチベーション向上になる反面、不満のタネとなることもあります。基礎知識を知って、最適な配賦を行いましょう。

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この記事の目次

    配賦(はいふ)とは

    「配賦」とは、共通の経費をある基準に基づいて各所に振り分ける時に使用されるビジネス用語です。

    例えば、会社全体で使用しているシステムの利用料があるとします。これらの共通経費を各部署に振り分け、部署ごとの実質的な経費を計算する際などに「配賦」は使われます。

    なお、同じ読みの「はいふ」でも、「配布」は広く行き渡らせること、「配付」は個々に配ることを指していて、「配賦」とは意味が異なります。

    配賦にはさまざまな基準があり、自社が自主的に決めることができます。一般的に企業で使われる配賦方式には、「部門別配賦」と「製品別配賦」があります。

    部門別配賦

    会社の費用を「間接部門」と「直接部門」に分けて、間接部門で発生した費用をある基準に応じて直接部門に振り分けることを「部門別配賦」といいます。この部門別配賦は、さらに3種類に細分化されます。

    直接配賦法

    「直接配賦法」とは、文字通り、間接部門の費用を直接部門にのみ配賦するシンプルな配賦方法です。

    階梯式配賦法

    各部門に優先順位をつけて、上位から配賦する方法を「階梯式配賦法」といいます。

    相互配賦法

    「相互配賦法」は、間接部門の費用を配賦した後に、担当の製造部門にのみ二次配賦する方法です。

    製品別配賦

    「製品別配賦」とは、製品の製造プロセスにおいて発生する費用のうち、直接製品に割り振れない間接的な費用を、ある基準に応じて製品ごとに配賦する方法です。

    配賦の方法

    それでは、配賦の方法を順を追って見ていきましょう。

    1.配賦基準を決める

    まずは、費用を振り分けるための配賦基準を決定します。部門別配賦と製品別配賦のどちらの方法にするか、そして「売上高・人員数・工数・稼働時間」などのいずれを基準とするかを慎重に検討しましょう。

    2.配賦率を計算する

    配賦基準が決定したら、次は実際に振り分ける計算をするための「配賦率」を計算します。

    例題として、工場の電気代100万円を振り分ける際の配賦率を見ていきましょう。
    「部門別配賦の売上高」を配賦基準とするケースでは、総売上高1,000万円のうち、部門Aの売上高が750万円の場合は配賦率75%、部門Bが250万円の場合は配賦率25%となります。
    「製品別配賦の稼働時間」を配賦基準とするケースでは、総稼働時間10時間のうち、製品Cのために4時間、製品Dに6時間稼働させているなら、Cが40%、Dが60%の配賦率となります。

    3.配賦額を計算する

    対象ごとの配賦率が算出できたら、配賦額が計算できます。

    先ほどの例題の「工場の電気代100万円を振り分ける」設定に当てはめてみましょう。
    「部門別配賦の売上高」のケースでは、部門Aが配賦率75%なので75万円、部門Bが配賦率25%なので25万円という配賦額になります。
    「製品別配賦の稼働時間」のケースでは、製品Cが配賦率40%なので40万円、製品Dが配賦率60%なので60万円という配賦額になります。

    配賦を行う目的

    配賦の目的は、複数の部署にまたがって共有する間接費用を、公平性を持って各部署に分担させることにあります。

    例えば、2部署で利用しているシステム機器のコストを片方の部署の経費としてまとめて計上すると、その部署の利益から差し引くことになります。これでは、各部署の利益計算の公平性を保つことができません。
    そこで各部署が扱う商材の原価や所属する人数、プロジェクトにかかる工数などを基準に配賦計算を行い、公平な負担額を求めます。

    水光熱費や備品、設備といった間接費用は、利益に直結しているわけではありません。しかし、企業の事業活動になくてはならないものです。こうした間接費用までコストとして正しく管理して社内で公平に負担するために、配賦が用いられるのです。

    配賦は社内モチベーションのアップにつながる

    配賦によって公平に費用を負担することは、従業員一人ひとりに組織全体の利益に対して当事者意識を持たせ、モチベーションを上げる効果も期待できます。

    例えばある部署が努力を尽くして黒字を出しても、全社共通のコストの配賦を加味すると赤字になってしまったというケースは起こり得ます。
    多くの従業員は自部署の業績や自身の評価につながる業務効率化や営業成績などに注力し、全社的に発生するコストへの対策は二の次になりがちです。しかし、自部署の赤字要素が配賦にあると分かれば、会社全体のコストのかけ方や収益についても自分ごととして強く意識し、より俯瞰的な視点で黒字化を目指すようになるでしょう。

    納得感のある配賦を実施すれば、部署の責任者から現場の従業員までが経営者マインドを持って業務に取り組めるようになることが期待できます。

    配賦が社内の不満のタネになる場合も

    配賦基準や配賦方法の決め方によって、さまざまな計算式が成り立ちます。水道光熱費や設備の減価償却費など「何を」配賦するかについても判断は異なります。何を基準とするか決定するのは悩ましいところですが、配賦の目的はあくまで「平等な経費負担を図るため」と心得ておきましょう。

    この配賦基準の決め方が不透明であったり、実態にそぐわなかったりすると、どこかが不平等のしわ寄せを負うことになり社内の不満のタネが芽生える恐れがあります。
    例えば、売上高を配賦基準にすると成績が良いほど経費負担が重くなり、思ったほど利益が出ないケースが考えられます。一方、人数を基準にすると経費負担の軽減を理由に人員削減を行う部門が生まれるかもしれません。

    配賦を実施する際は、各部門や製品ごとの配賦シミュレーションを各部門の担当者に提示して、妥当な配賦基準であることを丁寧に説明しましょう。

    まとめ

    最適な配賦は、各部門の経費負担を平等にするだけではありません。直接的な経費だけでなく会社を動かすための間接的な費用についても社員に自覚させ、その上で売上アップを目指すという意識を芽生えさせることも可能です。つまり、メンバー一人ひとりが経営者目線で業務にあたることが期待できます。最適な配賦は、社内に納得が得られて、個人のモチベーションアップにもつながります。

    配賦の最適化には、配賦基準を割り出すにあたっての根拠あるデータベースが必要です。
    楽楽販売」のような販売管理システムなら、商品原価や売上高、工数といった販売に関するあらゆる業務データを一元管理できるので、配賦基準を定める際のデータベースとしての活用が考えられます。ぜひ、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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    記事執筆者紹介

    • 株式会社ラクス「楽楽販売」コラム編集部
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