「按分」の意味とは?
按分計算の方法と簡単に済ませるポイント

こんにちは!「楽楽販売」コラム担当です。
「按分(あんぶん)」とは、かかった費用を決まった基準に沿って振り分けることを意味します。振り分ける基準はケースバイケースですが、とてもミスが起こりやすいため慎重に計算しなければなりません。
今回は按分計算の方法や、効率化についてご紹介します。
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この記事の目次
「按分(あんぶん)」とは基準値をもとに割り振ること
「按分(あんぶん)」とは、「基準値をもとに物品や金銭を分けること」です。分け方には基準値があり、条件によって構成比率は変動し、均等であるとは限りません。具体的には、使用した経費を複数の事業で割り振るなど も、按分に当たります。この基準値となる構成比率のことを「按分率」といいます。下記に挙げるように、按分に似た言葉は他にもあるので、使い方に注意しましょう。
「折半」との違い
「折半(せっぱん)」は、半分に分けることを意味します。「食事代は折半にしよう」という使い方をしたことがある人も多いでしょう。物品や金銭をちょうど二等分する時に使うので、複数人で分ける時には使用しません。
「配分」との違い
「配分(はいぶん)」は、物品を全員に均等に分けるという意味です。按分は物品や金銭について使いますが、配分は基本的に物品に限って使用します。金銭に使う時は「分配」という言葉を使います。
「配賦」との違い
折半や配分よりも按分に近いニュアンスを持つのが「配賦(はいふ)」です。単語そのものは「割り当てる」という意味を持ち、基準値をもとに分けるという点が類似しています。配賦は一般的に、部品や製品の費用を基準に従って割り当てる「原価計算」にのみ使われます。按分も原価計算に使用する言葉ですが、それ以外のシーンにも使用するという点が配賦と違う点です。
按分ってどういう時に使う?
按分はビジネスシーンで使うことが多く、主に2つ挙げられます。
1.事業経費の費用按分
按分の一つ目の使用シーンは、事業経費を割り当てる時です。
例えば、組織が三つの事業を持つ場合、費用をきっちりと三等分するとは限りません。事業内容によってかかる費用は異なりますし、貢献度に合わせた還元や成長性を見据えた投資も必要です。このような条件をもとに基準となる構成比率を定めて、経費を振り分けるのが「費用按分」です。事業に限らず、支店やプロジェクトなどの予算を振り分ける際などにも使用します。
2.フリーランスの家事按分
もう一つの按分は、フリーランスなどの自営業の人が事業にかかる経費とプライベートの生活費を分ける「家事按分」です。
例えば、自宅を店舗としても使用している場合、家賃や水道光熱費など事業にかかった経費を算出する際に按分計算を用います。この場合も、按分率に厳密な決まりはありません。仕事に使っている日数や時間や、面積など、根拠となる合理的な理由に基づいて算出することになります。
按分計算の例
では按分計算はどのように行うかを、例題をもとに見ていきましょう。
基本の按分計算の計算式
按分計算の基本となる計算式では、「割合」もしくは「期間」のいずれを基準にするかを決めなければなりません。
割合を基準とした計算式は「総額×使用した割合=按分額」で求められます。「使用した割合」とは、1ヶ月のうち何日使っているか、1日のうち何時間使っているかといった単位で使用した割合を算出したものです。
例えば、1ヶ月のうちの半分なら1/2=0.5、1日のうちの3割なら0.3のようになります。これは例えば「パソコンやスマートフォンをプライベートと仕事で共用している」「自宅を事業用にも使用している」といった場合に使用できる計算式です。
一方、期間を基準とする按分額は「総額×経過した期間や対象期間=期間按分額」で求めることができます。「経過した期間や対象期間」とは、月や日、時間などのことです。
期間按分を主に活用するのは、会計実務のシーンです。例えば、「2年更新の保険料を前払いした」など、複数年にわたって支払う費用を会計年度に該当する期間で計算する際などに用いられます。
地代家賃の按分計算
地代家賃は、使用している面積か時間の割合で按分するのが一般的です。自宅全体のうち、仕事にどのくらいのスペースを使っているかをもとに按分率を定めて算出します。
面積で按分する場合、例えば、100平方メートルの自宅に対して40平方メートルを事務所として使用しているなら按分率は40%となり、月の家賃が20万円であれば40%(8万円)が事業に使っている地代家賃となります。
電気代の按分計算
電気代は、一般的に使用時間の割合で按分します。休日などを考慮するため週単位(24時間×7日=168時間)で計算します。
1日8時間×週4日=32時間を仕事場として使用している場合、32時間を168時間で割ると約0.19となるので、およそ20%が事業用電気代の按分率となります。月の電気代が1万円の場合、20%の2,000円が経費となります。
売上の按分計算
業種・業態によっては、1回の売上を複数の部署で按分して予算管理をしている、というケースもあります。
例えば、1000万円で受注した商品の按分比率が、部署Aは50%、部署Bは30%、部署Cは20%だったとします。この場合は、部署Aの売上は1000万円×50%=500万円、部署Bの売上は1000万円×30%=300万円、部署Cの売上は1000万円×20%=200万円、ということになります。
サブスクリプションの按分計算
音楽や映像コンテンツの聴き放題・見放題サービスとして生活に浸透しているサブスクリプションサービスですが、ソフトウェアシステムやライセンス費用など、ビジネスシーンでもサブスクリプション型のサービスは増えています。
サブスクリプションでは「月額料金プラン」がよく見られますが、なかには複数年契約を更新していくプランも存在します。
会計処理において月々の按分額を割り出す必要がある場合は、期間按分で月々の按分額を求めます。
例えば、サブスクリプションサービスを2年間前払いプラン(24,000円)で契約した場合の月々の按分額は、24,000円×1ヶ月/24ヶ月=1,000円となります。
按分計算を効率化するには
按分計算は、ケースごとに按分率が違ったり、週ごとや月ごとなど集計期間が異なったりと、電卓で計算するには煩雑でミスが多くなりがちです。按分計算の精度を上げ効率的に行うためには、エクセルや会計システムの導入をおすすめします。
Excel(エクセル)を使う
ほとんどのパソコンにあらかじめ搭載されているエクセルなら、ビジネスシーンですでに使用している人も多いので按分計算をスムーズにはじめられるでしょう。あらかじめ科目ごとの按分率の関数を登録しておけば、簡単に管理することができます。
ただし、エクセルは複数人でひとつのマスターデータを同時編集しにくいため、組織では共有しづらいというデメリットがあります。また操作ミスなどで関数を崩してしまった場合、データ作成者以外には修正が難しい点も注意が必要です。
一人で会計管理をするにはエクセルで充分ですが、管理する件数が多く複数人がデータを操作する場合はエクセルでは限界があるといえます。
会計システムや販売管理システムを使う
エクセルと比べて機能性が高い会計システム・販売管理システムなら、より効率的に按分計算ができるようになります。
インターネットを介して使うクラウドタイプなら、膨大な件数を複数人でリアルタイムに編集できるので、担当者に属人化させることなく第三者視点からミスの早期発見が可能になります。
会計システム・販売管理システムを導入するにあたっての注意点としては、すでに導入しているシステムとの連動性があるか、カスタマイズの自由度が高いか、どのような保守管理が必要かなどを事前にチェックすることなどが挙げられます。
販売管理システムの「楽楽販売」なら、自社の運用に合わせたカスタマイズが可能なため、前述の按分計算の例のように原価や売上を按分する処理を設定し、按分業務を自動化することができます。ぜひ検討してみてください。
まとめ
按分は、事業の予算や確定申告など、組織やフリーランスを問わずさまざまなビジネスシーンで使用することが多い計算方法です。また、按分率の設定によっては結果となる数字が大きく異なるので、計算には正確性が求められます。作業の負荷を軽減するエクセルや会計システムの活用を検討し、経理の効率化を目指しましょう。
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記事執筆者紹介
- 株式会社ラクス「楽楽販売」コラム編集部
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