DX投資促進税制を知っていますか?税控除を活用して一早いDX推進を
こんにちは!「楽楽販売」コラム担当です。
近年、日本企業のDXが急務とされる中、政府もDX推進のための施策実施に踏み切っています。その一つが2021年度に改正した「DX投資促進税制」です。これにより企業はDX実現のためのデジタル関連投資について優遇措置を受けられます。今回はこれらの内容について具体的にご紹介します。
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近年、日本企業のDXが急務とされる中、政府もDX推進に向けた施策実施に踏み切っています。その一つが2021年度に改正した「DX投資促進税制」です。これにより企業はDX実現のためのデジタル関連投資について優遇措置を受けられます。
今回はこれらの内容について具体的にご紹介します。
2021年度改正!「DX投資促進税制」ってなに?
2021年度の税制改正のうち「DX投資促進税制」が施行され、DX実現のために必要なデジタル技術への投資に対する優遇措置を受けられるようになりました。
ここでは経済産業省により発表された令和3年度(2021年度)経済産業関係税制改正についての資料に基づき、税制措置の概要や認定要件、適用期限について解説していきます。
税制措置に関する概要
税制措置の対象となる投資はソフトウェア、繰延資産(クラウドシステムへの移行にかかる初期費用)、必要な器具備品や機械装置です。税額控除または特別償却30%の措置を受けることが可能です。また、対象となる投資額は売上高の0.1%以上300億円未満とされています。
税額控除の割合については3%を基本とし、自社グループ以外の法人との間でデータの連携、共有を行う場合にのみ5%の適用となります。
なお、税額控除の上限は2021年度創設の「カーボンニュートラル投資促進税制」と合わせて当期法人税額の20%までとされています。
認定要件
認定要件は、「デジタル化の側面」「企業変革の側面」の2点を満たすこととされています。
デジタル要件としては、1.データ連携・共有、2.クラウド技術の活用、3.「DX認定」の取得があります。
「DX認定」とはデジタル化によってビジネスモデルの変革の準備ができている企業を認定する制度のことで、IPA(情報処理推進機構)が運営するDX推進ポータルにおいてWeb申請を行い、審査を受けなければなりません。
企業変革要件は、1.全社による意思決定に基づいているか、2.一定以上の生産性向上等が見込まれるかなどで審査されます。例えば、取締役会等の決議文書などの資料を添付して証明する必要があり、部門や拠点ごとのDXではなく、全社レベルでのDX推進が条件となっています。
適用期限は2023年3月末まで
本税制措置の適用期限は2023年3月末(令和4年度末)までです。対象は、「法人税」「法人住民税」「事業税」「所得税」とされています。
先述したように税制措置を受けるためには、「DX認定」の取得が必要なので、まずはDX認定に取り組まなければなりません。DX認定取得までのスケジュールと合わせて、いち早く着手することがおすすめです。
優遇を受けるまでのステップ
DX投資促進税制の認定を受けるにはいくつかのステップがあるため、数ヶ月の時間を要します。適用期限までに優遇を得るためにも、計画的かつスピーディーに取り組みましょう。
まず税制についての内容と自社の現状の把握を速やかに行い、「DX認定」の取得のための準備を整えます。一般的に、申請から認定までには1ヶ月以上かかると言われています。
次に、事業適応計画の作成と申請に取り組み、認定を受けるまでにまた1ヶ月以上かかります。その後、計画に基づいて投資資産を取得すると、ようやく優遇措置の適用を受けられます。
優遇を受けた後についても、年度終了3ヶ月以内に「実施状況報告書」の提出を求められるので日程への注意が必要です。
合わせて活用できる特例制度
DX投資促進税制と合わせて活用できる2つの特例制度があるため、あわせて確認していきます。
繰越欠損金の控除上限に関する特例
コロナ禍で赤字企業となった場合でも、未来を見据えたDX推進は必要です。こうした経営改革に挑む中堅・大企業に対して、繰越欠損金の控除上限の引き上げ措置を行っています。控除上限が現状50%のところ100%までの引き上げが可能です。
コロナを起因とした特例であるため、原則コロナ禍での影響が顕著であったと思われる2020年度、または2021年度に発生した欠損金が対象となっています。
研究開発税制
民間企業における研究開発投資促進を目的とする「研究開発税制」にもDXに関する税制控除が追加で設けられました。ここでは控除上限の5%引き上げや控除率の見直しが成された上に、クラウドサービス提供のために行ったソフトウェア等の開発費も税制対象として追加されています。
事例としては、AIによってより良い生産計画を提案するサービスや、ドローンやAIを活用したインフラ自動点検サービスなどが挙げられます。
DX投資促進税制の背景とは?
DX投資促進税制が設けられた背景には、政府によるデジタル化強化があります。
経済産業省は民間企業のDX化の遅れに再三警鐘を鳴らしており、このまま日本企業の多くがDX推進への課題を乗り越えられないまま「2025年の崖」を迎えると、年間最大12兆円もの経済損失が発生し、日本経済がグローバル規模のデジタル競争から取り残されると危惧しています。
参照:経済産業省 DXレポート
全社レベルのDX投資の例とは
優遇措置を受ける要件として、「部門・拠点ごとではない全社レベルのDX」とありますが、具体的にどのようなものが「全社レベルのDX」に該当するのでしょうか。
全社レベルのDXの一例として、これまで各部門や拠点ごとにバラバラに持っていた顧客情報のデータをクラウドで一元化することなどが挙げられます。
これにより現在の取引内容や過去の実績といった販売情報を全社で共有・管理できるようになります。
またBtoCの小売販売業における例として、「無人決済店舗による自動化・省力化」がDXを取り入れた先進的なケースとして広がりつつあります。店舗に複数台のカメラを設置して顧客が買い物をする姿を映像で解析し、レジでスキャンしなくても手に取った商品の合計金額が表示されているという仕組みです。
このカメラ映像は来店客のリアルな行動の把握につながり、商品棚の配置や商品開発といったマーケティングに役立てられます。
また、製造業のDX化ではロボット機械の導入による自動化だけにとどまらず、センサーを活用したデータ収集なども進んでいます。これはカメラやセンサーといったIoT機器で収集した製造機械の計測データをクラウド上にて管理・分析する仕組みです。
計測データは管理部門や製造現場でリアルタイムにできるので、マネジメントと現場の視点から生産工程の最適化に取り組めます。
クラウドシステム導入による販売管理のDX化
企業内部のDX推進には、販売管理システムのクラウド化が有効です。
受注・出荷・請求・仕入れ・在庫といった複数のプロセスを一貫した販売管理システムの導入は、リアルタイムでの情報共有や人的ミスの軽減といった大幅な効率化だけではなく、データ分析によって成約確度の高い案件の見極めや課題の早期発見なども可能となります。
さらに、クラウド化によりオフィス拠点に縛られずにアクセスできるので、従業員の働き方の多様化も実現します。
クラウド型販売管理システムの「楽楽販売」はクラウド型システムの弱点とされるカスタマイズ性にも富んでいるため、外部システムとのデータ連携がシームレスに行えることが強みです。
まとめ
近年企業のDX推進にあたって、税制措置や認定制度といった多岐にわたる施策が生まれています。これらは、一部門や拠点に限ったDX化ではなく全社的に取り組むことが対象となります。
DXとはクラウド化によって全社的にビジネスモデルを変革することです。経営層から現場の社員までが一貫して取り組み、デジタル社会の変遷に乗り遅れないようにしましょう。
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