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2021年4月開始の新収益認識基準、おさえておきたいポイントを紹介

2021年4月開始の新収益認識基準、おさえておきたいポイントを紹介

こんにちは!「楽楽販売」コラム担当です。
2021年4月から適用が開始された「新収益認識基準」について、あまり理解できていない方も多いのではないでしょうか。本記事ではおさえておきたい5つのステップや適用時に必要な手順について詳しくご紹介します。まずは基本をおさえて導入の参考にしてみてください。

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この記事の目次

    新収益認識基準とは

    収益認識基準とは、「売上をどのように認識してどのように会計処理するのか」を定めた基準です。
    この売上高に関する会計処理の基準が新しくなり、2022年3月に決算を迎えたる会社が最初に該当することとなりました。

    適用の対象となる会社

    この新収益認識基準の適用の対象となるのは、「大会社」と「上場(予定)企業」です。
    大会社とは、会社法(第2条)において「最終事業年度に係る貸借対照表に資本金として計上した額が五億円以上であること」「最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が二百億円以上であること」という要件を満たした会社を指します。

    上場(予定)企業は、子会社や関連会社も含みます。大会社以外で上場の予定もない会社は、新収益認識基準の適用は任意となります。
    中小企業の多くは対象とならないため、現在の会計基準の運用のままでも問題はありませんが、将来的に上場を目指す企業の場合、早い段階から取り組んでおいても損はないでしょう。

    新収益認識基準が導入された背景

    新収益認識基準の導入の背景には、「IFRS(国際会計基準)」の存在があります。
    IFRSとは国際会計基準審議会(IASB)が2014年に公表した会計基準で、各国の経済活動がグローバル化する中、世界共通の会計基準を定めるために誕生したものです。

    新収益認識基準は、このIFRS第15号の「収益認識に関する会計基準」に当てはまります。
    これまで日本では1949年に旧・大蔵省から公表された「企業会計原則」という方法を会計処理の基本ルールとして財務諸表を作成してきました。しかし70余年の時を経てビジネスモデルは多角化・グローバル化し、企業会計原則のルールだけでは対応が難しくなっていきます。

    そこで、日本でもIFRSを取り入れた「収益認識に関する会計基準」を2018年に公表し、2021年4月以降の事業年度から新たな収益認識基準として適用していくことになりました。

    適用されることによる影響

    新収益認識基準が適用されることによって、財務諸表の書き方が変わる以外にも影響が及ぶことをおさえておきましょう。

    新収益認識基準では売上高の計上方法が変わるため、中期経営計画の数値も変わります。売上高の計上時期を後ろ倒しにしたり、売上目標や利益率の数値を変更したりなどの対応が必要になる可能性があるでしょう。
    加えて、中期経営計画は株主総会など対外的に報告する経営戦略でもあります。そのため新収益認識基準の適用前後の数値のギャップについても注記しなければ、社外からの誤解を招く可能性があるため注意が必要です。

    そのほかに、事業や部門、個人の業績評価の際に売上高を基準としている場合にも影響があります。売上成績だけで査定していた組織は、獲得顧客数などの非財務情報も評価に加えるといった対応にシフトしていくなど、自社に合った評価方法を再検討するのがおすすめです。

    新収益認識基準の導入により、多くの日本企業にも国際基準の収益認識が浸透することになります。今後は日本企業と海外企業の売上の比較ができるようになるため、海外投資家にとっても日本企業に対し投資の判断をしやすくなります。これは新基準の適用による好影響といえるでしょう。

    影響を受ける取引の内容

    新たな収益認識基準の影響を受けるようになったのは、主に下記のような取引内容です。

    ひとつは、「長期間にわたってサービスを行う義務のある取引」です。例えば、複数年のメンテナンスサービスを提供する場合、当初の契約時にまとめてメンテナンス費用を受け取っていても、その年月日で売上を計上するのではなく、月々の分割で計上する必要があります。

    ほかには、「商品とサービスのセット販売」が挙げられます。契約の中に商品の販売とサービス実施という複数の履行義務が含まれるため、契約時に一括で請求をしていても、サービスにかかる分の売上は実際のサービス実施時に計上しなければなりません。

    加えてITベンダーや建築業のように、開発や工事などが複数年かかる事業にも影響が及びます。この場合は月々均等に計上するとは限らず、「プロジェクトの進捗度に合わせて収益を小分けにして計上する」というルールになります。

    新収益認識基準のおさえるべき5つのステップ

    新収益認識基準は、下記の5つのステップで収益の計上を行います。

    • STEP1:契約の識別
    • STEP2:履行義務の識別
    • STEP3:取引価格の算定
    • STEP4:取引価格の配分
    • STEP5:収益の認識

    STEP1:契約の識別

    まず、顧客との取引においてどのように契約するかを把握します。正式な契約書はもちろん、注文書、口頭での約束事や商慣行も「契約」の対象となります。

    STEP2:履行義務の識別

    次に、顧客との契約の中にどのような約束事があるかを把握します。この約束事が「履行義務」です。「履行義務」はこれまでの日本の会計基準にはなかった新しい概念であり、新収益認識基準を遵守するための重要な要点となります。
    例えば、2年間の保守管理サービスを含むパソコンを販売する場合、「パソコン本体の提供」と「2年間保守管理サービスの提供」のそれぞれを履行義務として特定することになります。

    STEP3:取引価格の算定

    ステップ3では、顧客との取引において売り手が受け取る対価の金額を算定します。
    上記の例に当てはめると、「2年間の保守管理サービスを含むパソコンの代金」のことです。「商品の購入に伴って有効期限付きのポイントを付与」といった条件を付加する場合は、あらかじめ差し引いて取引価格を考えなければなりません。

    STEP4:取引価格の配分

    次にステップ2で定めた履行義務ごとに、取引価格を分けます。
    上記の例に当てはめると、顧客が支払う総額の中に「パソコン本体の代金」と「保守管理サービスの代金」「ポイント付与の場合はその金額」が含まれることになります。

    保守サービスやポイント付与は商品の付加価値として明確に料金設定をしていなかったケースが多いでしょう。新収益認識基準を導入する際は、「パソコン本体は○○○○○円」「保守管理サービスは□□□□円」と一つひとつ料金設定を検討する必要があります。

    STEP5:収益の認識

    最後に、ようやく収益を認識する段階になります。
    従来の日本企業では、収益の計上を「出荷基準」「検収基準」など企業が任意で設定していました。しかしこのたびの新収益認識基準が導入後は「履行義務が充足されること」が基準になります。

    履行義務が充足するタイミングには「一定時点」と「一定期間」の2種類が存在します。
    例えば、「パソコン本体」は販売した時点で履行義務が充足し、「2年間の保守管理サービス」は2年間で履行義務が充足するという捉え方です。つまり、パソコン本体の収益はすぐに発生しますが、保守管理サービスの一部は翌期の収益になります。

    加えて、新しい基準ではクーポンやポイントも商品本体とは別の独立した履行義務と特定されます。
    これまではクーポンやポイントを配布する・しないに関わらず、商品が売れた時点で商品代金を計上できていました。しかし今後は、クーポンやポイントの適用額を引いた金額を収益として計上することになります。

    この点も、新収益認識基準が売上数値に大きく影響すると言われる要因です。
    履行義務の充足とは、顧客に商品・サービスの権利が移行したタイミングや、サービス提供の約束を果たしたタイミングと考えると良いでしょう。

    新収益認識基準適用時の手順

    では次に、自社の業務において新収益認識基準を導入する際の手順を見ていきましょう。
    新収益認識基準は主に大手企業が適用対象となっているので、すでに会計システムを導入している場合がほとんどでしょう。その場合はシステムの運用についてもチェックしてみてください。

    現状を把握する

    まず、現状の自社の業務フローの洗い出しから始めます。自社が取引先や顧客とどんな契約を結んでおり、それぞれどのような履行義務が存在するかを正確に把握します。

    すでに会計システムを導入している場合はそのシステムの仕様が新しい収益認識基準に変更できるのかどうかを調査しておく必要があります。場合によっては機能拡張やシステムそのものの変更も検討しなければなりません。
    早い段階でベンダーに確認し、効率的な対応を相談しておくと良いでしょう。

    方針を決める

    次に契約ごとの方針を考えます。方針とは、自社の取引(契約)ごとにどのような履行義務があり、各履行義務がいつ充足するか、対価をいくらにするかといった内容です。

    顧客に商品・サービスの権利が移行するタイミングを「履行義務の充足」と捉えるため、売上の計上も同じタイミングで行わなければなりません。既存の会計システムがそのように管理できるかどうかも確認しましょう。

    実行する

    業務フローが変わる場合は、対応のための人員が新たに必要になってきます。
    既存システムの設定の変更、または新システムの導入などを実行していきます。システムを提供するベンダーとプロジェクトを組んで、スムーズな稼働を目指すのも良いでしょう。自社に新収益認識基準が適用されるタイミングから遡ったスケジュール管理が必要です。

    運用を定着させる

    新収益認識基準の適用による新たな業務フローを定着させていくには、入念なチェックが必要です。
    月次処理の際や四半期決算、年次決算のたびに正しい計上ができているかを確認することが大切です。

    販売管理システムで計上を効率化

    新収益認識基準の施行により会計処理の基準が大きく変わったため、適応できているかどうか不安を抱えている企業もあるのではないでしょうか。

    認識が曖昧なまま処理していては、後から大きなミスにつながりかねません。加えて、これまで一括で計上していた売上を複数月に按分するなど売上計算も煩雑になり、実務担当者に大きな負担がかかっていることも懸念要素のひとつです。

    こうした課題を払拭するためには、「楽楽販売」のような販売管理システムの導入をおすすめします。受注から生産、販売まで、販売プロセスにおけるモノやカネの流れを一元管理できるので、案件ごとに異なる契約形態でも新収益認識基準への対応が効率的に行えます。
    加えて、按分計算などの複雑な会計処理も自動化できるので、人的ミスの低減につながります。

    販売管理システムは、業務プロセスを総合的に効率化できるので、導入メリットが大きいこともおすすめする理由です。ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

    まとめ

    新収益認識基準が適用されたことで、これまでの会計処理を刷新することになりました。結果として日本の会計処理の慣習や業界独自の商習慣の見直しに直面している企業もあるでしょう。

    例えば、ひとつの取引が1年以上にわたる建設業やITベンダーなどは「工数単価の細かい洗い出しが必要になる」「収益認識のタイミングが複数年にまたがるようになる」といったように、新基準の影響を受けているのではないでしょうか。

    新収益認識基準は大会社や上場企業とその子会社、上場準備中の会社に強制的に適用されています。新収益認識基準への対応は、国際社会で活躍する企業に求められるグローバル対応とも捉えられます。
    現状適用外の企業でも、これから上場を見据えている場合は、会計システムの見直しや導入を検討して新収益認識基準に対応できる体制づくりを目指してください。

    記事執筆者紹介

    • 株式会社ラクス「楽楽販売」コラム編集部
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